柔術Lifelog

「柔術ときどき仕事」ぐらいの割合の【柔術多め】ブログです。

格闘技と性的要素の相性の悪さ|いつになったら次のステージに向かうのか

近年、女子格闘技が盛り上がっている。RIZINでのRENA選手が火付け役となり、浅倉カンナ選手、浜崎朱加選手といった日本人選手がチャンピオンが誕生し、AbemaTVでは女子選手にフォーカスした格闘代理戦3rdが放送されて話題を呼び、最近ではそこで優勝した平田樹選手のONEでのパフォーマンスがネット上をざわつかせました。

メディアに載らないことには世間から認知されないので、外に対する情報発信はとても重要だと思います。

ただし、情報を投下した先の受け手がどう捉えるかといったことも考える必要があるかもしれません。


この動画はアリかナシか

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この動画が物議を醸しています。

配信しているのはジム側ではなく、動画にも出演しているYouTuberのチャンネル。

動画は見られてなんぼの世界なので、キャッチーなタイトルとサムネを付けるのは十二分に理解できます。

配信者のこれまでの動画を見ても、同様の傾向にあるので今回配信された動画だけが特別なものではないことも見て取れます。

個人のチャンネルなので好きな内容を撮ってアップロードすればいいと思うし、余程倫理感がぶっ飛んだ内容でない限り外野がギャーギャー言うものではないというのが基本スタンスです。

今回、柔術クラスタの中で物議を醸している点としては、ジムの代表が動画撮影に率先して参加しており、その内容に性的な要素が多分に含まれている点です。

「格闘技」×「性的要素」は相性が悪い

過去にも格闘技ジムが女性向けコンテンツ(?)と称したきわどい企画があったことを思い出しました。


私がフォローしている方々は柔術やグラップリングを嗜んでいる人ばかりで、そのような方々からは厳しい意見が主流であったと記憶しています。

この記事を書くにあたり、世間の評価がどのようなものかを改めて確認してみたところ意外にも高評価が目立ちました。




なるほど。世間はこういった捉え方をするのか。

女性が格闘技を習うことに躊躇する気持ちが分かるわ。

動画の冒頭で大沢氏が発言した「女子が楽しめるコンテンツ」になっているのかは甚だ疑問なところ。

一時的なPVは伸びるでしょう。

ただし、そこを足がかりに格闘技を始めようと思う女性は皆無だと思います。

格闘技は男性でさえ習い始めることに抵抗を覚えるのに、このようなバイアスがかかった情報を見聞きした女性が格闘技を始めたいと思うでしょうか。

格闘技に女性の性的要素を掛け合わせるのはそろそろ止めませんか?

格闘技の本質ではないところにフォーカスしても意味がない

この騒動を見て真っ先に頭に浮かんだのはこの記事でした。

times.abema.tv

「『女性だから』っていう言葉はちょっとナンセンスだと思う」と語る青木は「もうそろそろ、カワイイとか、ちょっとエロいみたいなことで売るゾーンから抜け出さないとキツいと思う」と女子格闘技界の風潮を危惧する。


「水着計量とか本当ナンセンスで、もっと女子格闘技で言うと、戦う理由だとか『何故戦うか』生き方・キャリアの話と並行して求心力や共感を呼ぶべき」と提言。


「いつまでも水着だのやっててもダメだよ」と切り捨てると、「『いいでしょ?』って言ってビキニみたいの着させて、バカなんじゃないかと思うんだよね」と、ワンパターンな演出に辟易してる様子だった。


青木選手の言う通り、本当に格闘技を広めたいと考えるのなら格闘技意外のところにフォーカスしても全く意味がないと思います。

配信する側としては「格闘技を世に広めたい」という思い(今回の件に関しては2,000%無いと思います)があったとしても、受け手がどう捉えるのかといった視点を持つことも重要です。

格闘技選手の生き方やキャリアを語っていくのは手間も時間もかかるのは分かります。

キャッチーな見出しを投下することで、手っ取り早くPVや再生数を稼ぎたい気持ちも分かります。

ただ、本当の意味でのライト層に届けるってそういうことじゃないと思うのです。


そもそも投下地点を間違えている

今回なぜこのようなギャップ(炎上)が生まれてしまったのか。

それは配信者のターゲットとする層とコンテンツ内容(或いは投下地点)がズレていたからだと思います。

寝技経験×性別で4象限に分けてみましょう。

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この4分類のうち、おそらく配信者の方が届けたかった層(あるいはチャンネル登録層)は④になります。

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ただし、今回の騒動となったジム代表のツイートはぶっちぎりで①③層が目にすることになるので、目にした人たちは「なんだかなぁ」という気分になってしまったものと思われます。

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現在進行形で寝技をやっている女性からすれば、もっと女性にも参入してきてほしいという気持ちがあるだけに、競技に変なイメージを植え付けるような動画に腹立たしい気持ちを抱いたのだと思います。


タイムリーな動画が上がっていました。
www.youtube.com

Women who grapple (and all grapplers, really) are often maligned with talk from non-fighters who try to sexualize jiu-jitsu by comparing the close contact nature of grappling to sex positions.
No, my friends, breaking limbs is not that kind of sexy.


どうすれば女性が緊張することなく格闘技を始められるようになるのか、もっと真面目に考えた方が良いですね。

当たり前のことですが偏った情報ばかりを発信するのではなく、まずはクリーンなイメージを持ってもらうことからだと思います。

そのためにも「中にいる女性が正しい情報を発信する」ことは重要になってくると思っています。

ほとんどのジムでは出来ていると思っていますが、気になったので書き起こしておきます。