本日、自社の一次評価面談を受けてきました。
会社員である以上、会社からの評価は常について回るものですが、今回は入社当初は違和感でしかなかった自社の評価制度について考えてみようと思います。
周りのコンサル会社勤めの人に聞く限り、どこも同じような評価の仕方らしいので、これからコンサル企業に就職・転職しようと考えている人は要チェック!!!
デュエルしようぜ!管理職達の熱いカードバトル!
年に一度行われる、管理職達のカードバトルの祭典!
自分の手札(部下)と相手の手札(部下)のスキルを競わせ、どちらがよりプロモーション(昇進)に相応しいかを競います。そこには壮絶なデュエルがある!
と面白おかしく書いてみましたが、実際にはきちんと制度設計された中で適切な評価が行われます。決して、遊んでいる訳ではありません。
具体的にどのような方法で評価が行われていくのか、わりと一般的な人事考課制度を用いていた前職と比較しながら説明していきたいと思います。
考課表が存在しない人事評価
一般的な企業では「成果」「行動」「知識・技術」「勤務態度」などのカテゴリーごとに評価項目が用意された考課表があり、その評価項目に対して1・2・3・4・5といった評価を①自己採点、②一次評価(MGR)、③二次評価(部長)、④最終評価決定 のプロセスで回していくケースが多いと思います。
私の前職もそうでした。
現在私が勤めている会社では、そのような会社指定の考課表は用意されておらず、自己の成長に必要と考えるスキルを自由に設定し、その成果・達成度合いをキャリアカウンセラーから随時(人によって四半期、半期、通期と期間も自由に決めることができる)フィードバックしてもらうことで、個人の人材開発を通じて会社業績を高めようとする評価制度が採用されています。
このような年次単位でのランク付けを廃止し、リアルタイムの目標設定・フィードバックで評価する制度を「ノーレイティング」と呼ぶそうです。
出典:松丘 啓司(2016). 人事評価はもういらない
正直、点数制の評価制度(レイティング制度)で育ってきた自分にとって、ノーレイティング制度は違和感しかありませんでした。
評価基準が曖昧だし、なにより公平性に欠けると。
こんな制度だと、上司に気に入られた奴ばかりが評価され、寡黙で実直な性格の人は埋もれていく一方ではないかと。
ただ、実際にこの評価制度が運用されているところをみて思ったことは、意外と適正に評価できているなということ。同クラスのピア(同僚)とのデュエルになるので、評価方法としては相対評価(会社は絶対評価でデキる人は早く昇進させると言い張っているが実態は相対評価)であることから不安視していたほどノイズ(アホな子の昇進)は入ってこない模様。
評価にノイズが入る要素が排除できるのであれば、会社から与えられた評価基準で評価されるよりも、自分が置かれた環境(将来的な目標やプロジェクトで求められるスキル)に適した目標を設定した方が高いモチベーションで挑めるので、個人の成長スピードも速く、結果として会社の成長にも繋がるという考え方です。
余談ですが、前職の評価制度でエグイなと感じたことは、エンジニア(リーダークラス)に対しても数値目標として売上目標が設定されること。半期で●千万の売上目標が個人に設定され、達成できなければ評価されない。そんなアホな。。。
予算も潤沢で難易度の低い案件にアサインされた人の評価は高く、逆に予算もシビアで難易度の高い案件を引いた人が泣きを見る世界。まさに地獄絵図!!!
そもそも一人ひとりの強みは異なりますし、目指すキャリアプランも違うので、「エンジニアの皆さーん。そろそろコードを書くのは止めて、マネージャー(管理職)を目指さないと給料上がりませんよー」的な画一的な評価制度の方が問題があるように思います。
人材開発に重点を置くならば会社起点で考えるのではなく、個人起点の発想が必要になってきます。そして、その流れは今後加速していくと思われます。
ノーレイティングの考え方については、以下の記事に詳しく記載されていますので、気になる方はチェックしてみて下さい。一部引用。
ノーレイティングとは、まったく評価をしないということではありません。 年度末に実施する、A,B,Cといった社員のランク付け(レイティング)と、年度単位での社員の評価を止めるという動きのことです。
(中略)
日本企業と同じく、アメリカ企業においても年初に当年度の目標を設定し、中間段階で進捗状況のすり合わせを行ない、年度末に実績を踏まえてランク付け(レイティング) を実施して、本人にフィードバックを行なうというプロセスが一般的に行われてきていました。ノーレイティングは、このような従来の目標管理・評価のプロセス全体を変革する動きと捉えることができます。
キャリアカウンセラーってなんだ?
聞きなれない言葉が出てきましたね。キャリアカウンセラー。
少し話が逸れますが、キャリアカウンセラーについて簡単に説明します。
キャリアカウンセラーとはD●DAやエ●ジャパンなどの転職エージェントで、就職先を斡旋してくれる一見親切そうに見えるものの、実は成功報酬のことしか考えていないお兄さん・お姉さん達のことではありません(全員がそうとは言いませんが…)。
社内で自分の成長を促してくれるメンターのような存在です。
所属するプロジェクトの上司がカウンセラーになるケースもありますし、同じ部署というだけで会ったこともない(半期に一度ぐらい面談する)人がカウンセラーにつくことがあります。
このカウンセラーと呼ばれる人たちが、考課会議で自分の代わりに戦ってくれます。
そうです、まさにデュエリストです!
従って、誰をカウンセラーにするかが超大事!!!
先に書いたように、カウンセラーは同じ部署の上司というだけで必ずしも同じ仕事をしている訳ではありません。カウンセラー目線で考えた場合、年に2回ぐらいしか会わないどこかの誰かよりも、近くで一緒に汗を流しながら働いている後輩ちゃんがかわいいに決まってるじゃないですか。
賢い人は「同じプロジェクトで働いていて」「それなりに社内で発言権があって」「今後出世しそうな人」にカウンセラーを乗り換えていきます。
「途中でカウンセラーを変更するなんて、その人が社内で発言権がない(=この人では戦えない)と思っているように受け取られかねないし、なんだか悪いわ」と考えた貴方。
たぶん、この世界あまり向いてないです。出世は遅くなると思います。
使えるものはなんでも使っていきましょう。そうでないと生き残れない世界です。
外資系企業ってもっとドライな世界だと思っていましたが、プロモーション(昇進)に関しては、そこらへんの日系企業より人間関係が大事になってきます。これは本当に意外でした。
積極的に上司を飲みに誘う人。
上司の誕生日会を企画する人。
上司の昇進祝いでパーティーを企画する人。
こんな人たちが出世していきます。マジで!
ただ、これが出来る人って人間関係構築力が高く、且つフットワークも軽い人だったりするので、仕事もデキる人が多いです。
「あいつは上司に媚び売ってばかりだ」とボヤいて行動しない人ほど出世は遅いです。
偉くなりたかったら人より目立たなくてはいけません。フットワークが軽いだけで中身が伴っていないと話になりませんが、フットワークが軽いことは大きな武器になります。
ノーレイティングのデメリット
話を評価制度に戻します。
私が考えるノーレイティングのメリットとデメリットは以下の通り。
■メリット
- 個人の成長にフォーカスした目標設定
- リアルタイムのフィードバック(成長促進)
- 考課にかける時間の大幅短縮(評価のための評価廃止)
■デメリット
- 評価基準が曖昧(公平感・納得感の欠如)
デメリットとしては、評価基準が曖昧(公平感・納得感の欠如)の一択です。
この世に万人が納得するような公平な評価制度など存在しないと思っています。
誰かにメリットがある制度は、別の誰かにとってはデメリットになるケースが往々にして想定されます。
完璧な評価制度が存在しない以上、部下に対していかに納得感を持ってもらうかが重要になります。納得してもらうためには、日々の働きをしっかり見ると共に定期的に中長期的な方向性を確認し、そこに到達するために何をすべきか、どのようなスキルが必要になってくるのかをしっかり話し合うことが重要になってきます。
それが出来ないのであれば、ノーレイティングの制度や考え方を取り入れることに意味(効果)はなく、ただ制度を用意しただけで終わってしまいます。制度を用意しただけでは運用されません。
すぐに評価制度を変えることは難しいかも知れませんが、その考え方の一部を取り入れるなど、評価制度の捉え方を考え直すきっかけになれば思い書いてみました。
これから就職・転職する方々へ
最後にこれからコンサルティングファームや大企業と呼ばれる会社に就職・転職する人向けのアドバイスを書いて終わります。
- 大企業で早く出世したいないら、ネットワーキング(人間関係構築)は大切。フットワークを軽く生きよう
- 担ぐ神輿を間違えないようにしよう。間違えたと思ったらすぐに乗り換えよう(上司は選んでいい)
- 自分の実績はきちんとアピールしよう。黙ってても誰も評価してくれない(寡黙は美徳ではない)
- 昇進のライバルとなるピア(同僚)の動向はチェックし、それ以上の成果を上げることを常に意識しよう
この辺りを意識しておくと早く出世できる。かも?