柔術Lifelog

「柔術ときどき仕事」ぐらいの割合の【柔術多め】ブログです。

高級派遣?コンサル常駐案件はスキルが身につかない?目の前に起きていることを赤裸々に書き綴ってみる

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今のクライアントに派遣されたのが2016年8月のことなので、あと10日もすれば配属4年目に突入する35歳です。

コンサルティングファームという響きで連想される、いわゆる『戦略系』と称される大企業の経営層向けに綿密な分析をベースにした提案をプレゼンする華々しいイメージの部署ではなく、『デリバリー』といった実際にプロジェクトに参加して一緒に成果物を作成していくタイプの部署に所属しています。

同じクライアントに3年もいると、この仕事の良い面も悪い面も見えてきたので、これからコンサルを目指す人やコンサル常駐案件にどっぷり浸かって危機感を覚えている方に向けて、自分なりの考えをまとめておこうと思います。

結論としては『常駐案件でも個人のスキル(価値)はいくらでも延ばせる』です。


もはや派遣社員?常駐案件型コンサルの仕事内容

常駐型案件でもアサインされるプロジェクト特性(短期/長期、企画系/開発系など)によって、求められるスキルや仕事内容は異なります。

一般的にイメージし易いのは「企業のIT計画策定」といったテーマに関して、3ヶ月程度の期間で3,4名ぐらいの少数メンバーで現状分析・計画立案を行うといった業務だと思います。

一方で近年増加している「高級派遣」などと揶揄されている常駐型案件の特徴としては、6ヶ月や1年といった長期間契約で自社の社員代行として業務をアウトソースする案件です。



はい。私が3年近くやっているお仕事ですね。



現在は私を含めて6名のメンバーで業務を回していますが、それぞれの求められる役割をざっくり分類すると以下の3つになります。


① 新たなビジネス企画をシステムでどう実現するかをプランニングする人
② ITプランに沿って、システムを作り上げていく人
③ 出来上がったシステムを活用してビジネスを回していく人


①はイメージしやすいですよね。

「こういうシステムを構築することでビジネスが実現出来ますよ!」とパワーポイントを駆使し、青写真を描いてミドル層向けに提案をする業務です。

②は実際にシステム構築までを請け負うケースもありますが、大半はPMOと呼ばれる 実際に何をやっているかイマイチ分からない プロジェクトマネジメントの支援を横断的に行うポジションとして、実際にシステム構築を行ってくれる開発ベンダー(クライアントが直契約)と一緒にシステムを作り上げていきます。

③は小規模なBPO(Business Process Outsourcing)をイメージしてもらうと良いと思います。

システムを使って業務を進めていく中で発生する様々な課題解決を社員に代行して行っていきます。


①はコンサルっぽい業務内容ですが、②は開発ベンダーの管理者、③になると派遣社員と変わらないようにも思えてきます。

常駐案件型コンサルは不人気?スキルが身につかないって本当?

3ヶ月や半年ぐらい居ただけでは、新しいスキルは身に付きづらいことは確かでしょう。

本当に高級派遣(ただの事務屋)で終わる人も見てきました。

一方で、クライアントからある程度の信頼が得られて長期で契約をもらえるようになると、その企業のコアビジネスや新規事業の立ち上げに深く携わる機会を得ることができたり、部長や役員といった普段接することのない方々と一緒に仕事をするようになり、自身のスキルアップだけではなく人脈を広げると言った面でのメリットも少なくありません。

似たようなことを書いている記事を見つけたので以下にリンクを貼っておきます。
gaishishukatsu.com

「高級文房具」という言葉は初めて聞きましたが、なかなか味わい深いワードですね。

単価に見合った働きを求められるシビアなポジション

「でも結局はモノ作りもしないし、横から口だけ出していればいい楽なポジションなんでしょ?」

こんな声も聞こえてきそうです。

たしかに、開発ベンダーではないのでモノ作りに直接関与はしませんが、楽なポジションかと言えば一概にそうとは言えません。



なんて言ったって、高級派遣ですから。



このような派遣ビジネスを行っているコンサルティングファームの最低単価としては、一般的なSIベンダーのSEクラス2人分ぐらいの単価でビジネスを回しています。

もちろん、マネージャーやシニアマネージャークラスになると3人分やそれ以上の単価を取るケースも往々にしてあります。


そんな高い単価で雇っている人間が、自社の社員と同等 あるいはそれ以下の働きしかしていなかったらイラッとしますよね?


高い金額を払っているので、当然クライアントからはそれなりの目で見られます。

成果物の品質はもちろん、日頃の勤務態度、ビジネスマナー、周囲とのコミュニケーション、仕事に取り組む姿勢、ありとあらゆる面で周囲と比較され、金額に見合わない働きと判断された場合には契約終了を迫られます。

30代前半~中盤ぐらいのビジネスパーソンとしてピークを迎えつつある要員であれば、それなりに上手くサバイブしていくケースが多いですが、新卒や社会人2,3年目ぐらいのフレッシュなメンバーがアサインされると結構キツイです。


クライアント要求と本人のスキルにギャップが生まれるからです。


4,5名ぐらいのチームで仕事をしている場合には、メンバー間でフォローしながら仕事を進めていくことができるため問題になることは少ないですが、1,2人といった単位で投入されるような現場の場合、個人レベルでクライアント要求のハードルを超えていく必要があり、わりとタフな現場になりがちです。


メンバーの能力だけではなく、管理者の期待値コントロールが求められるジョブ

クライアント要求に応えることが出来ない個人が全て悪いのかと問われると、答えはノーだと考えます。

配属先は組織側のリソース計画に基づき決められていくので、仮にアサインされたメンバーが顧客要求に応えられないのであれば、その現場へアサインを指示した組織や管理体制に問題があります。

2,3年目の経験が浅いメンバーをアサインするのであれば、その現場の責任者がメンバーに対して指導を行うと共に、クライアントの期待値もコントロールしておかなくてはいけません。

よくあるのが若手メンバーにスケジュール調整や議事録作成といった庶務ばかりやらせることで、クライアントから若手メンバー個人の評価がなかなか上がらないケース。




はい、すみません。

白状します。

これ、やらかしました。




半年ほど前から私の現場に入社2年目の若手がアサインされました。

アサイン当初は依頼したことも完遂できず、上昇志向も全くなく、本人の危機感も感じられないといった具合で正直あまり期待していませんでした。

そんな私の思いがクライアントへ伝播してしまったのか、彼への評価は日に日に厳しいものに。

そんな中、彼はというと少しずつやる気を見せて、徐々に仕事もこなせるようになり、最近ではかなり前向きに仕事に取り組んでいる姿を見て「人間って変わるもんだなぁ」なんて悠長なことを考えていた矢先、クライアントから契約終了(要員交代)の通達が飛び込んできました。

色々と策は講じたものの、結果としては要員を交代する結果に。


もう本当に申し訳ない。


長いこと今のアサイン先に居たせいで「自分が居れば他のメンバーの評価が悪くても何とかなるだろう」と驕りや気の緩みがあったのだと思います。

甘くないですね。ビジネスは。

こればかりは、きちんとクライアントの期待値コントロールを出来なかった自分のミスだと思っています。


…。

私個人の懺悔の文章になってきてしまったので話をまとめます。


高級派遣と揶揄されるようなコンサル常駐案件ですが、本人のモチベーション次第では他の案件では体験できないような貴重な経験を積むことが出来る一方で、皆が思っているような楽な仕事ではないですよといったことを伝えたかったです。

最初はあまり面白くないかもしれませんが、長くやっているうちにやり甲斐を見つけられる案件です。

常駐案件はスキルが伸びないかもと悩んでいる人は、一度全力で取り組んでみることをおすすめします!